外来で約50匹の猫を飼っています!(綜説:招き猫)

宮  本  弘  毅

(久喜市医師会報 NO8 寄稿 2005年7月8日未明脱稿 )

 私は生来どちらかと云えば、「猫」より「犬」の方が好きでした。しかし、当院の HomePage の関係と思いますが、私は7・8年前より周囲の方々より「招き猫」の蒐集家の如く「お付き合い」頂く様になりました。結果、私自身も「その気」になり、多少「はまり込んで」しまいました。
 処でソレナリに研究(?)している内に、私が夢想だにしなかった多くの先達を知りました。1993年に「日本招猫(=ショウビョウ)倶楽部」が設立され、現在会員は千余名との事です。9月29日は「来る福招き猫の日」との事で、三重県伊勢市や愛知県瀬戸市では、同日に event が催されるとの事です。 就中最も驚嘆したのは、カメラマンの坂東寛司氏の快挙です。7000体も蒐集し、東京の自宅では保管不能となり、軽井沢近隣の「嬬恋村」に転居し、「招き猫ミュージアム」をオープンし、一般公開もしているそうです。同様の公開機関(?)としては中野区鷺宮の新青梅街道沿いに「ギャラリー招福民芸館」もあります。尚、同所ではオリジナル猫の展示・即売及び internet を介しての通信販売もしています。  
  歴史的には、東京近縁では世田谷の豪徳寺と譜代大名・彦根井伊家との話が有名ですが、同様のストリーの逸話・伝承は日本国中の諸処にある様です。
  一応招猫の起源は約150年前の江戸末期とされ、日本独特の「縁起物」と云うのが相場の様です。一方そのルーツを平安時代の宮廷文化に言及している人も います(菊池真「招き猫の宮」戎光祥出版)。
 正式(?)な英語名は Lucky Cat との事で、現在の日本の経済圏を反映して、Guam島(米)や Bali島(インドネシア)の土産物店にもおいてあります(両島へ新婚旅行した、異なる二人の看護師さんより頂いたモノが手元にあります)。
 昨年の秋信州方面への病院旅行した際、善光寺さんの参道で、何故か made in China のシリコン製のモノを見付け購入しました。 ソーラーをエネルギーとして手や首が可動する猫が、近時「ソーラー猫」なる新しいジャンルを形成し、外貨も稼いでいる様です。 
 次いで招猫に関連した風評を幾つか紹介します。店頭等で通覧すると、6割かた招猫はサウスポー(左手を挙げる)と云われます。サウスポーの猫は風評では、メス猫で、人を招き、夜型の商売向きとの事です。反対に右手を挙げる猫はオス猫で、金・運を招き、昼型の商売向きだそうです。時に両手を挙げた猫を見る事があります。この種の猫は「万歳猫」とも云われ、大願成就した際に、両目を入れられた同じく縁起物の「だるまサン」に通じるモノがあるのかも知れません。
 猫の体表色に関連した風評もあります。最も多い体表種は「三毛猫」だそうです。生猫(=ナマネコ)の場合、三毛猫のオスは、遺伝学的にも証明された「稀有種」との事です。招猫界では右手を挙げた三毛猫はそれほど珍重されません。次に多い体表種は「白猫」ですが、諸説あるも、ことさら関連付けられた風評はない様です。「黒猫」は「厄除け」と関連付けられております。特に成田さんの「おお黒猫」は有名ですが、OL向けに「ストーカー予防」用としてお守り型の小黒猫をキャンペーンをしているメーカーもある様です。「赤猫」は「疫除け」と関連付けられております。病医院の人目の着く所に単体の招猫を設置するのは、通例は「非常識」な行為と見なされます。処が招猫が「赤猫」の場合、非常識な行為と短絡的に結論する人は、正道を逸脱した軽率な非文化人(?)です。更に「金色猫」は「金運」と「ピンク猫」は「恋愛運」と関連付けられています。一方「黄猫」も時に見かけますが、特定の風評に関連付た文献(?)には遭遇しませんでした。
 この様な文章を「会誌」に投稿している様じゃ、余程のヒマジンと見られますよネ!

<参考文献>
 坂東寛司著 日本経済新聞 H14-04-22
 招猫倶楽部監修 福原克編 招猫辞典(第二版) H14-10-06