市の広報誌に
掲載拒否された依頼原稿
宮 本 弘 毅
平成16年5月14日脱稿 |
事の顛末 |
事の始まりは平成14年の暮でした。久喜市医師会の担当理事の斉藤久雄先生より電話があり、平成16年2月に市役所で発行する広報誌の「けんこうメモ」の原稿依頼を受けました。未だ先の長い話でしたので、「その時まで生きていたら、書くよ!」と、笑って了承しました。テーマは「更年期障害」との事でした。
数日後の深夜一人で 「チビリ・チビリ」と飲んでいる時、この事を思い出しました。単に「更年期障害」とはいえテーマの範囲が広すぎる!
フォカスを絞る必要がある。その為には現在「売れ筋」の関連書物に一と通り目を通し、焦点を絞る必要がある。結構大変だ! その日は「ハイ」のまま寝ました。
還暦を過ぎてから以前にも増して「全くの出不精」となり、春秋の病院のバス旅行、東京・浦和での年に数回の学会、冠婚葬祭(特に葬式)以外に市外に出る機会が全く無くなりました。平成15年2月23日浦和で
「第40回埼玉県医学会総会」がありました。それに出席し、昼休みに数年ぶりに「須原屋」に行きました。 |
同店の1階「家庭医学」コーナー及び地下の「医学書」コーナーの書架に並んいる「更年期」と名の付く本を全て購入しました。次記「参考文献」の内、7・8冊がそれに相応します。
翌日より、時間を都合し読み出しました。4.・5冊読んだ所で私が当初予想した通り、共通した「話題の中心」は「ホルモン補充療法」である事を確信しました。
平成15年6月8日に東京麹町の都市センターホールで「第105回日本産科婦人科学会 関東連合地方部会総会」がありました。昼休みに20年以上ぶりに駿河台下の「三省堂」までタクシーを飛ばしました。同様に同店の書架に並んいる「更年期」と名の付く本を全て購入しました。(蛇足:手持ちの本は既に最低1回は通読してましたので、同じ本を重複購入しませんでした。) 即ち下記13冊の参考文献は2回に分け2店舗で揃えました。 |
平成15年10月末日を目標に全本の2回目の通読を完了しました。下記は発行年代順に羅列してあります。日進月歩の医学書でも痛感し再確認した事は、その道の権威者が比較的「早い時期」に著述した本は、やはり「名書」であり、長い期間読まれていると云う事です。一方この時期には私の書くべきフォカスも確固としました。11月中は核の周囲に引用すべき材料を求めて数冊を再々読しました。
平成15年12月に入り、文章化するべくワープロに向き合いました。そして初めて正規の「投稿規程」を見て仰天しました。許容々量が800字との事でした! これじゃ何も書けない! 作戦の練り直しが必須でした。ワープロで文字数を数えながら、全文を短縮する為に、数回文脈の構造を練り直す事を反復しました。それでも何とか年内、御用納め過ぎに脱稿するに及びました。
年明け早々に送稿し、やっと一段落したと思っておりました。ところが平成16年1月19日、市役所の役人が来院し、掲載拒否の故を通告され、原稿の返却を受けました。依頼原稿の掲載拒否とは未経験の事であり、前代未聞でありました。数日間不愉快の極みであり、無念の極みでした。 |
===<参考文献>=== |
01 野沢志朗他編集 更年期の不安とうつ フジメディカル出版 2003/01/10
02 田中奈保美著 独身女性の更年期
主婦の友 2002/12/20
03 師岡孝浩次他監修 更年期障害は自分で治せる!
現代書林 2002/12/10
04 大田博明編 更年期外来診療マネージメント
南江堂 2002/07/01
05 堀口雅子著 更年期障害 気になる症状と治し方
成美堂出版 2002/03/20
06 中村理英子著 更年期クリニック
主婦と生活社 2001/12/10
07 小池浩司著 更年期からの輝き
前田書店 2001/06/08
08 丸本百合子監修 更年期を美しくらくに過ごす 女子栄養大学出版部
2001/05/25
09 水沼英樹著 更年期障害
保健同人社 2001/04/20
10 筒井末春著 更年期障害・ストレスの病態生理・・・・真興交易医書出版部
2000/02/20
11 矢内原巧他編 更年期外来
メジカルビュー社 1998/07/20
12 小山嵩夫編著 更年期外来ハンドブック 中外医学社
1996/11/01
13 青野敏博編 更年期外来診療プラクティス
医学書院 1996/04/01
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●次に投稿した原稿の「複写」を提示させて頂きます |
更年期と不老長寿の妙薬 |
日本が世界一の長寿国になって20年近くになりますが、日本人の平均寿命が50才を越えたのは、「昭和の初め」で、現在「日本女性」の平均寿命は約85才です。一方「閉経年齢(=卵巣の寿命)」は何時の時代でも約50才で、人種に関係なく世界共通です。仮に15才迄を「少女時代」とした時、現在「日本婦人」の「前半の35年」は妊娠可能であり、「後半の35年」は妊娠不可能となります。人類が地上に出現して450万年ですが、それ程昔でない「大正時代」迄は他の大半の動物と同じく、人類も「子を産めない時」に寿命が尽きた様です。女性にとって卵巣の「仕事ハジメ」の時期を「思春期」と云い、「御用オサメ」の時期を「更年期」と申します。卵巣の仕事の面での主役は「エストロゲン」で、直訳すると「性の源」となります。更年期以降の婦人がエストロゲンを短期間服用しただけでも、「ナニの時に下が湿潤し、迎い入れる準備OK」となります。処がエストロゲンを長期服用すると、次の様な「とんでもない作用」のある事が次々に解かってきました。
全身の肌の「お化粧のノリ」を大変よくします(=女性の永遠の憧れ?)。 一方「動物の金属疲労」とも云うべき「血管がモロくなる」事や「骨がスカスカになる」事を予防します。
更に注目される事は「ぼけ」の進行をも阻止します。 即ち、エストロゲンは「性の源」より「生の源」であり、「不老長寿の妙薬」に最も近い薬です。更年期以降の婦人がエストロゲンを年余に及び服用する事を「ホルモン補充療法」と申し、3ヶ月間この療法をした女性(=68才)が詠んだ歌を紹介させて頂き稿を止めます。
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朝起きて鏡に向かい紅を引く
変わりゆく身にこころおどろく
(小池浩司著「更年期からの輝き」より)
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