A.妊娠期の身体的特性 | 目次4 | 15頁 |
C妊婦と胎児のアセスメント | 13頁 | |
A.分娩の要素 | 目次6 | 13頁 |
B.分娩の経過 | 8頁 | |
49/3=16
妊娠関連 :1.8回
|
妊娠 :受精卵を体内に有する状態→受精卵が母体組織と結合
【開始】着床
【終了】分娩 or 流産・早産・中絶
受精卵:卵子と精子との結合(頁43 図14) 人工授精
妊婦 :妊娠している女性 Parturient Gebuerende Gravida schwangere Frau
初妊婦(primigravida)
経妊婦(mutigravida)
初産婦(primipara)
経産婦(multipara)
経験:「母体外での生命保続可能児」の分娩経験
現在:妊娠22週以降(法律で決める)
<2>妊娠の成立
【♂】
B射精 Ejaculation [射:(矢を)いる 「精液」を体外に噴射する]
卵子・精子の形成過程(頁43 図13)
卵祖細胞→1次卵母細胞(胎児時)→第1次成熟分裂(LH の作用 減数分裂)→第1次極体
↓
2次卵母細胞→第2次成熟分裂→第2次極体
↓
卵娘細胞(頁43 図14 各極体の関係)
精祖細胞→1次精母細胞→第1次成熟分裂(減数分裂)
↓
2次精母細胞→第2次成熟分裂→精子細胞→精子(尾部形成)
【受精】:卵子・精子の会合(「第2次成熟分裂」中)→透明体反応(多精子受精の防止)
<3>胎盤の形成
1次絨毛:栄養胚よりの突起
2次絨毛:中胚葉組織の浸入
3次絨毛:結合織・血管の形成
脱落膜 被胞脱落膜・壁側脱落膜の融合
基底脱落膜
絨毛膜 繁生絨毛膜(絨毛膜有毛部)→基底脱落膜と供に胎盤形成
滑平絨毛膜(絨毛膜無毛部)→卵膜形成 @羊膜(胎児・胎盤の内腔側を覆う)
A滑平絨毛膜
B被胞脱落膜
C壁側脱落膜
絨毛の内膜浸入・内出血→絨毛間腔の形成 ガス交換 栄養・老廃物交換(頁44 図15)
胎盤・卵膜 16週頃完成
§2 胎児の発育とその生理
<1>胎児の発育
*「胎芽」人間の原基が予想される時期より前(妊娠10まで) 2頭身
【胎芽】
1。受精後2週目(=妊娠4週)
内細胞塊→羊膜腔
上胚盤葉ー→3胚葉
下胚盤葉 (=原始内胚葉)
↓ ーー→胚外中胚葉
卵黄嚢
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
胚盤胞腔→胚外体腔
2。受精後3週目(=妊娠5週)(頁45 図16 C)
2層性胚盤→3層性胚盤:外胚葉・中胚葉・内胚葉:器官原基
付着茎→臍帯
外胚葉臓器:皮膚 皮膚付属器 神経系
内胚葉臓器:消化管 器官 内分泌臓器 膀胱
中胚葉臓器:骨 筋肉 心血管系 腎臓 生殖器
【胎児】
*頭部の成長が緩徐(頁46 図17・18)
16週時:胎盤・卵膜形成
3ヶ月:2頭身 5ヶ月:3頭身 10ヶ月:4頭身 3頭身胎児
頭臀長:CRL(=crown rump length) 呼吸運動(UST)
<2>胎盤と羊水の生理
【胎盤の構造】(頁44 図15)
起源:絨毛膜有毛部(=繁生絨毛膜)と基底脱落膜
妊娠末期
楕円形の円盤状 直径:15〜20cm 厚さ:2〜3cm 重量:500g(=児体重/6)
母体面:暗赤色 大小不動の分葉構造
胎児面:卵膜に被服 平滑光沢 臍帯 卵膜下に放射状血管
【胎盤の機能】(動脈:心臓より出る血管 静脈:心臓に入る血管)
母体側:【往】ラセン動脈 :→絨毛間腔(子宮筋層→基底脱落膜貫通)
【復】子宮胎盤静脈 :←絨毛間腔(物質交換後母体循環)
胎児側:【往】臍帯動脈(2本):→絨毛幹
【復】臍帯静脈(1本):←絨毛幹
絨毛幹⇔絨毛間腔 @ガス交換 物質交換
A母児の血液は直接接触しない(×血液型反応)
B胎盤膜(placental barrier 胎盤柵)
高分子構造物質等(ex. マクロライド系抗生物質)は母児間で移行不能
ホルモン産生:hCG hPL ステロイドホルモン(Estrogen Progesteron)
【羊水の機能】
羊水性状:弱アルカリ性(膣は酸性の為、前期破水の鑑別)
電解質構造:海水に類似 妊娠末期に脱落上皮・胎脂を含有
妊娠7・8ヶ月に最多(700〜800ml) 分娩時:500ml(=胎盤重量)
羊水循環:(頁47 図19)
起源 羊膜分泌 母体血液よりの滲出 妊娠末期に胎児尿
吸収 羊膜 妊娠末期に胎児消化管→胎盤→母体循環
羊水機能;環境の恒常化(体温 圧力) 外力に対する緩衝 胎児運動の確保
分娩時に胎児・臍帯への直接圧迫より保護
羊水検査:肺成熟度 溶血性黄疸 染色体異常 脂質代謝異常
<3>胎児の生理
循環系のみ独立 他機能は胎盤を介して母体に依存
【血液系】
赤血球の産生
妊娠5・6週:卵黄嚢の血管内皮細胞
妊娠10週 :主役 肝臓に移行
妊娠14週 :肝臓造血低下 脾臓・骨髄に移行
分娩時 :90%が骨髄
胎児血色素(=HbF) 血中濃度 1.5倍 成人血色素より酸素親和性強
【循環器系】(頁49 図20)
主因:肺循環系(右心室→肺動脈→肺胞→肺静脈→左心房)の機能停止
代償:【機能上】大動脈→左右内骨腸動脈→臍帯動脈→絨毛幹→臍帯静脈→静脈管(Arantius)
→下大静脈
【経路上】@右心房→卵円孔→左心房→左心室→大動脈
A右心房→右心室→肺動脈→動脈管(Bottalo)→大動脈
【呼吸器系】
妊娠16週:UST で呼吸様運動観察可
妊娠26週:肺胞原基発生 NICU で呼吸可能
妊娠32週:肺胞構造 界面活性物質産生
【消化器系】
胎内では栄養源としては意味がない
妊娠3ヶ月より羊水の吸収 妊娠末期に胎便産生
胎便排泄:胎児低酸素症の重要な症候(=羊水混濁)
胎児低酸素→副交感神経系の興奮→腸蠕動亢進 肛門括約筋弛緩→胎便排出
【腎臓系】
胎内では電解質の恒常性保持の意味はない
妊娠後期に羊水産生源に多少関与
§3 母体の生理的変化
<1>生殖器における変化
【子宮体】
非妊娠時
:重量50g 長さ(7cm) 幅(5cm) 厚さ(3cm)[7-5-3]
妊娠末期
:重量1kg 長さ30cm を超える
内容込み5kg(+胎児:3kg +胎盤:500g +羊水:500g) = 100倍
恥骨結合を超える:妊娠4ヶ月
臍の高さ
:22〜24週(妊娠6ヶ月中頃)
最高の高さ
:剣状突起下2・3横指(妊娠35週)
子宮の大きさの表現
[米] 〜weeks size
[独] 非妊娠時:鶏卵大(huenereigross)
2ヶ月末:鵞卵大(genseeigross)
3ヶ月末:手拳大(faustgross)
4ヶ月末
:小児頭大(kindeskopfgross)
5ヶ月末
:成人頭大(manneskopfgross)
[教科書] 10週:オレンジ大
12週:グレープフルーツ大
【子宮峡】(頁50 図21)
1cm未満(解剖学的内子宮口⇔組織学的内子宮口)
非妊娠時:子宮頸部と一体化
妊娠時 :伸展傾向
妊娠16週:子宮体部と一体化(=子宮腔の一部)
分娩時 :軟産道の一部として通過管形成
【子宮頸】
顕著に軟化:鼻翼硬→口唇硬
リビド着色(ドドメ色) Chadvic's
sign
頸管腺の肥大・大量の粘液分泌→「粘液栓」を形成(細菌浸入防御)
妊娠末期 頸管長の短縮(=展退)
【膣】
膣壁グリコーゲン含有量増加→膣内常在菌による乳酸発酵の亢進→膣の酸度増加
→病原菌の進入阻止亢進【Doederlein's bacillus Gram(+)】
【外陰】
潤軟化 静脈怒張 色素沈着 皮脂腺分泌亢進
【卵巣・卵管】
@1.5倍に肥大(通常:拇指頭大 daumenspitzgross)
A妊娠3ヶ月迄黄体発育(Progesteron産生の主役:妊娠の維持)
妊娠4ヶ月以降黄体退化 分娩後白体
B胎盤より多量のEstrogen・Progesteronの為、下垂体性性腺刺激ホルモン分泌抑制
卵胞発育抑制・排卵の停止
【乳房】
@乳房:妊娠2ヶ月より肥大・緊満(単に月経が遅れているのと違う)
末期には3〜4倍(Estrogen・Progesteron の作用)
B乳輪:拡大 暗褐色着色 モントゴメリー腺(小結節)の肥大
C乳頭:肥大 暗褐色着色
過敏 刺激で勃起 妊娠4ヶ月頃より初乳
<2>初産婦と経産婦の区別
問診時に「うそ」を云う人もいる
【性器】
【経産婦】処女膜:基底に達する裂傷(先端鈍) 輪状の連絡欠如 陰門開放
膣壁 :皺襞少ない 平滑
子宮口:横裂(Vs 円形) 開大傾向(Vs 閉鎖)
頸膣部:円柱状(Vs 円錐状)
【乳房】
【経産婦】乳頭大きく 乳輪広く 着色濃く 旧妊娠線の存在
【腹部】
【経産婦】腹直筋離開 旧妊娠線の存在
【胎児下降感】
【経産婦】分娩直前迄児頭が陥入しない事多し
<3>妊娠による全身的変化
【体重増加】(頁52 図22)
妊娠中の体型変化:妊娠の誇示(ヒールの高い靴の禁)
妊娠中の体重増加:9〜11kg 妊娠後期 500g以下/週
@40%:胎児・胎盤・羊水
A30%:子宮・乳房・体液(血液・細胞外液)の増加
B30%:貯蔵脂肪
*@Aは産褥時中に復元 B子供を生む度に肥る事の主因
【皮膚の変化】
@妊娠腺(頁53 図23)
急速な皮膚の進展→皮下結合織の断裂(赤褐色の皮膚の線状のへこみ)
分娩後退色(銀白色)
副腎皮質ホルモン亢進症(Cushing's syndrome, buffalo type obesity, full
moon face)
A色素沈着:腹壁正中線・臍窩(=黒線) 乳頭 乳輪 外陰部
妊娠雀斑・肝斑(Cloasma gravidarum)
【代謝の変化】
@基礎代謝:酸素消費量 20%(↑) 基礎代謝率(kcal/u/時) 8〜15%(↑)
胎児体表面積の増加分に相応
A糖質代謝:空腹時血糖(多少低め
) 食後血糖値(常時高め)
インスルン分泌(増加傾向 相対的には不足状態→糖尿病の悪化)
腎の糖排泄閾値(=しきい)の低下→糖尿(=妊娠性糖尿)
B蛋白代謝:約1kg の蛋白が蓄積される
[約半分] 胎児・胎盤・羊水
[残半分] 乳房・子宮・血液に蓄積(分娩出血・子宮復古・授乳に利用)
血清総蛋白(血液希釈の為:↓) アルブミン(↓) グロブリン(↑) フィブリノゲン(↑)
C脂質代謝:貯蔵エネルギー源として蓄積(妊娠30週迄に約4kg(?) 於腹壁・背部・大腿部)
脂肪摂取(↑) 唐→脂質転換(↑) 総コレステロール(↑) 中性脂肪(↑)
D水分代謝:胎盤性Estrogen 増加に伴い、水分の蓄積傾向
【呼吸器系の変化】
妊娠後期 横隔膜挙上→吸気時横隔膜の動き増加 肺活量微増 呼吸数増加
結果:@吸気量(↑)→母体血中酸素濃度(↑)→胎児への酸素供給量(↑)
A呼気量(↑)→ 母体血中二酸化炭素濃度(↓)→胎盤での胎児二酸化炭素の拡散(↑)
【循環器系の変化】
@循環血液量:胎児発育・代謝亢進→全血液量
:20〜30%増
血漿量の増加最高(32週時):40〜50%増
*血液の粘張度 :顕著に減
A循環血液量・酸素需要の増加→心伯出量:妊娠12週より増加
妊娠28〜32週時最高 30%増
B心臓拡大 横隔膜の挙上→前上左偏移
C収縮期血圧:不変(心伯出量の増加 = Progesteron →血管壁軟化→抹消血管抵抗の減少)
D拡張期血圧:若干低下
【消化器系の変化】
Progesteron→消化管蠕動運動の低下→便秘
消化管の圧排・変位(←子宮の増大)+胃噴門部括約筋弛緩→胃酸の逆流→むねやけ
【泌尿器系の変化】
@頻尿
:【妊娠初期】妊娠子宮による圧排 【妊娠後期】胎児頭部による圧排
A腎盂腎炎:1。Progesteron→平滑筋の緊張低下→尿管拡張→尿管での尿滞留→上行感染
2。子宮の
膀胱圧排→尿の膀胱よりの逆流→上行感染
BRPF :【妊娠初期・中期】25〜50%増加 【妊娠後期】非妊娠時に戻る
CGFR
:妊娠初期に50%増加 分娩迄高値保持(再吸収が糸球濾過に追いつけない)
【内分泌系の変化】
@Progesteron:子宮内膜分泌型(脱落膜)変換 平滑筋の緊張低下 乳房の発育 乳汁分泌抑制
妊娠12〜13週迄は産生主体は卵巣黄体 その後は胎盤に移行
AEstrogen
:steroid 核への OH- 基の連鎖数により、E1/E2/E3 Estrogen の作用は E2 が最強
妊娠初期の産生主体は卵巣 その後は胎盤に移行
1。電解質・水代謝機能 皮膚色素沈着 頸管粘液分泌作用
2。胎児の副腎で産生されたsteroid が胎盤を介してE3 として排泄(=胎児・胎盤機能の指標)
3。FSH/LH の分泌抑制作用→排卵抑制(月経周期の停止)
BPRL
:Prolactin 乳腺発育促進 乳汁分泌促進 妊娠中多分泌持続
CACTH
:Cortisol の分泌増加 Ardosteronの分泌増加(母体のNa・水代謝の調整)
DTSH
:分泌促進→甲状腺肥大 母体の基礎代謝調整
EhCG
:human chorionic gonadotropin 胎盤絨毛 syntitum cell より分泌
黄体機能を助け妊娠を維持 子宮収縮を抑制 妊娠反応の試薬 切迫流産の治療
FhPL
:human pracental lactogen 胎盤絨毛 syntitum cell より分泌
作用的に不明な点多し Growth hormon 様作用(巨人 侏儒)
乳腺の促進作用 抗 insulin 作用 母親を介して胎児の発育を促す
§4 妊娠経過の診断(頁 61)
<1>月経の停止 Amenorrhoe
*性器出血を全て「生理」と云う女性に注意
妊娠以外の月経停止 ・本能的因子:固体保持の優先 ex.過度のダィエット 重症全身疾患等
・精神的因子:環境の変化 ex.職場の変更 進学 合宿 戦争無月経等
・薬物的因子: ex.精神科で加療中の人等
・内分泌因子:1。視床下部・下垂体・卵巣・子宮・膣・外陰の疾病
2。甲状腺機能異常 副腎機能異常 ホルモン産生腫瘍等
<2>基礎体温
Basal Basic Temperatur
原理:Progesteron には本来薬理学的に発熱作用がある 卵巣黄体の寿命(荻野久作博士)
*16週以降に体温低下 就寝時に「暖房器具」を使用する人に注意
<3>悪阻
Emesis gravidarum
通例:50%出現 妊娠5〜6週に始まり6週間持続 精神的因子の関与する事大
治療:少量頻回の食事(昼夜を問わない)
*重症妊娠悪阻:脱水を伴い入院加療を要する 肝臓出血・破裂に迄進行し死亡する例もある
*予定月経が1日遅れただけでも「つわり」を訴える人もいる
*胃の器質的疾患も絶えず考慮する必要がる。内視鏡的検査
<4>妊娠反応
原理:尿中に hCG(=human chorionic gnadotropin = β-hCG) が存在する事を免疫学的に検査
hCG は「通例」胎盤の絨毛で産生→体内に胎盤の存在の証明
感度:現在の製品(25iu/L)では多くの場合妊娠4週で陽性となる
*下垂体性ゴナドトロピン(LH = α-hCG)により、特に排卵時に妊娠反応(+)となる事がある
*異所性hCG産生腫瘍:稀に肺・卵巣・睾丸等の腫瘍(多くは悪性)で、hCG を分泌
<5>内診
pelvic examination
子宮体i部:大化 軟化 Piscacek's sign(着床部位の腫瘤) Hegar's sign(峡部の軟化)
子宮頸部:軟化(=口唇硬) Chadwick's sign(Livid着色)
<6>超音波診断(頁64 図25)
超音波断層法 UST(UrtaSonic Tomography)
妊娠6週:100% 胎嚢(GS:Gestational Sac)の存在
妊娠7週:100% 心拍動(FHB:Fetal Heart Beat)の確認
<7>胎児心音の
聴取(頁64 図26)
超音波Doppler法
妊娠9週より 12週(100%) 母体×2/分
<8>胎動感
(胎動初感)
初産婦:妊娠20週
経産婦:妊娠18週
*胎動を「初めて感じた日」により、月経不順の人の「分娩予定日」を立てた
(昭和40年代始めにi超音波Doppler法の機器が市販される以前では他に方法がなかった)
<9>胎児の触知
【レオポルド触診法】 いわゆる産科の「外診」(頁65 図27)
診察者は産婦の右側で、1〜3段では対面し、4段では患者に背をむける
1段法:子宮底及び同部の胎児部分の触知
2段法:大部分(=滑らかな背中側)・小部分(=手足による凹凸側)の触知→胎向の推察
3段法:恥骨上部の胎児部分の触知(1段と併せて)
→胎位の推察
4段法:胎児先進部と小骨盤腔との関連の触知
→先進部陥入状況の推察
<10>妊娠の鑑別診断
1。小骨盤内腫瘍との鑑別 ex. 子宮筋腫 卵巣嚢腫等
2。絨毛性疾患との鑑別 ex.
稽留流産 子宮外妊娠 胞状奇胎等
<11>妊娠時期の診断
【分娩予定日】
1。最終月経より:月経周期が規則的な婦人に限定 +280日
2。基礎体温より:排卵日が確認可能な婦人に限定 +266日
3。専用機器より:(頁67 図28)
1。2。の基礎資料に合わせる(入力する)
4。Noegel の予定日概算法 予定日の「月」 = 最終月経の「月」 +9 or -3
予定日の「日」
=
最終月経の「日」 +7(= 18 + 5 - 2)
【超音波検査】
通例 UST に組み込まれた Computer で、次記を資料に 予定日・数週・推定児体重等が自動算出される
妊娠2ヶ月時:胎嚢(GS:gestational sack)の最大径
妊娠3ヶ月時:頭臀長(CRL:crown-rump lemgth)
(頁69 図29 @)
妊娠4ヶ月時:児頭大横径(BPD:biparietal diameter)
(頁69 図29 A)
それ以降 時;大腿骨長(FL:femur length)
(頁69 図29 D)
体幹横断面の前後径(APTD:anteroposterior trunk diameter) (頁69 図29 C)
横径(TTD:transverse trunk diameter)
(頁69 図29 C)
腹部周囲長(AC:abdominal circumstance)
(頁69 図29 B)
<12>妊婦の臨床検査値
*血漿量増加の為、血液検査値は概して希釈された値になる。
*妊娠数週による変動も相当にある。
【抹消血検査】
・妊娠貧血:Hb 11g/dl Ht 30% 以下
・白血球数:増加傾向 産褥時 顕著に増加(20000/μl 近く迄も)
・血小板数:非妊時とあまり変わらない
*血沈 :顕著に亢進(出血傾向の指標)
【血液生化学検査】
・蛋白系:TP(↓)
アルブミン(↓)
・脂質系:総コレステロール(↑) 中性脂肪(↑)
・肝機能:GOT(→) GOT(→) 膠質反応(→) 胆道系酵素(↑)
・腎機能:GFR(↑) RPF(↑)
クレアチニン(↓) BUN(↓)
§5 胎児発育と健康状態の診断
<1>胎児の発育状態
関係因子 妊娠初期 :遺伝的素因
妊娠中後期:母体栄養状態 胎盤機能
*子宮内発育遅延:IUGR(intrauterine growth retardation) small for date
<2>胎児発育の評価法
【超音波検査】
上述略
【胎児心拍陣痛図】 下述略
【羊水検査】
@肺成熟度
:界面活性物質(Surfactant:surface active agent)
【作用】肺をフクラマス作用
不足→新生児の呼吸窮症候群(RDS:respiratory distress syndrome)
【組成】燐脂質である lecitin よりなる(lecitin 量を直接測定するのは技術が難)
羊水中には元来 sphingomyelin(=同様に燐脂質)
lecitin 量を L/S(lecitin /sphingomyelin)比より推定する
A溶血性黄疸
:羊水中のビリルビン様物質の分光分析
B染色体異常
:胎児表皮の脱落細胞を培養 染色体分析
C先天性代謝異常:胎児表皮の脱落細胞(or 培養細胞)に於ける
異常蓄積産物の検査(ex. 燐脂質 唐脂質等)
酵素異常 代謝異常
【母体計測】
@子宮底長(頁70 図30)
先進部下降開始以前(〜9ヶ月迄) 子宮底長 ≒ 妊娠数週 ー 4
A腹囲:臍を通過する断面で測定(測定の不偏化 他に指標なし)
B体重:「むくみ」の程度を数値化
C身長:「骨盤の大きさ」との相関が大(150cm以下注意)
<3>胎児の健康状態
【超音波断層法】
@推定体重:上述
AIUGR
:児頭⇔躯幹での発育状況の比較
胎盤機能不全(児頭>躯幹) 染色胎以上(児頭≒躯幹)
B他 :胎児奇形 羊水量 呼吸様運動状況 胎動状況
【胎児心拍陣痛図】
【CTG】CTG(=CardioTocoGraphy)(頁71 図31)
時間的に同期する二つの記録より構成
上段:胎児心拍数(FHR:fetal heart rate)
下段:子宮収縮(UC:uterine contraction)
【NST】non-stress
test(頁72 図32)
CTG により次記2項に注目
@基線細変動:2〜6回/分の周期の基線(120〜160bpm)の変動波の存在(頁71 図31)
A一過性頻脈:15bpm以上が15秒持続する頻脈の2回以上/20分の存在
*reactive pattern:上記@Aが認知→胎児健常(=1週以内の胎児・胎盤機能不全死の否定)
【CST】contraction stress
test
目的:胎児に stress をかけ、胎児胎盤機能状況(=胎児予備能力)の検査
方法@OCT(=oxytocin challenge test ) :子宮収縮剤により子宮収縮を誘発
ANSCST(=nipple stimulation CST) :乳頭刺激により子宮収縮を誘発
判定:下記一過性徐脈の出現状況を観察する
*検査により胎児状況の悪化の可能性 急速遂娩(帝王切開等)の準備下で検査するのが原則
【参考 分娩時のCTG】(頁73 図33)
一過性に出現する徐脈を次の3型に分類する
@早発一過性徐脈:△
A遅発一過性徐脈:××
B変動一過性徐脈:×
【胎児抹消血検査】
意義:fetal
distress→胎児低酸素症→fetal acidosis
胎児先進部より採血→ガス分析(pH 正常値:7.30〜7.40 許容値:7.25 危険域:〜7.15)
頁162 胎児血の影響(pH
正常値:7.3±0.5
危険域:〜7.20)
§6 妊婦健康診査 いわゆる「産科定期検診」
頻度:妊娠〜6ヶ月(1回/4週) 7・8・9ヶ月(1回/2週) 10ヶ月〜(1回/週)
内容:@胎児発育・羊水量関連(子宮底長 腹囲)
A妊娠中毒症関連(血圧 浮腫 尿蛋白 体重)
B糖尿病関連(尿唐)
CUST[妊娠初期] 子宮内のGS(=子宮外妊娠の否定) CRL(=予定日・数週の修正)
異常妊娠の発見(多胎 胞状奇胎等) 子宮・卵巣の病態の発見
[妊娠中期]胎児奇形の発見 胎盤の位置(前置胎盤の発見) *胎児性別
[妊娠後期]胎児発育 胎位・胎向・胎勢 羊水量 胎盤の状況(早期剥離等)
*上記@ABは通例毎回施行
Cは最低限各期に1回の検査は必須なるも、毎回施行の必要はない
第2部分娩
**********************************
§1 分娩とは
(頁144)
labor and delivery labor(=労働 ILO) delivery(=配達 newspare delivery)
parturition childbirth confinement(=監禁 禁固 制限)
Partus Geburt
分娩:母体中心
出産:胎児中心
<1>分娩の区別
【分娩時期による分類】
@流産
:abortion miscarriage
優生保護法2条第2項「胎児が母体外において生命を保続することのできない時期」
平成3年1月1日施行
母体保護法(平成9年4月1日施行):優生保護法の一部改正に伴い名称変更
現在は妊娠21週迄 その間は「妊娠中絶」可能 堕胎罪(嬰児殺し)
胎児体重:500g以下(頁41 表6)
A早産 :premature delivery. pre-term deli.very
妊娠22週〜妊娠36週(平成3年1月1日)
妊娠27・28週:1000g
「適切な保育により子宮外生活の可能性が高い」
B正期産:term delivery
term(期間 用語 境界・限界)
37〜41週(5週間)
C過期産:post term delivery.
42週以降
*周産期:perinatal satadium<period>
:妊娠22週より日齢6日
【その他の分類】
@分娩の経過による分類
・正常分娩:normal labor and delivery NSD:normal spontaneous deli.
1。37〜41週に自然に陣痛発来し
2。成熟胎児が前方後頭位にて分娩し
3。母児ともに障害や合併症がなく
4。通常の範囲内の会陰切開(東大系 京大系)以外の手術操作を行うことなく
5。分娩所要時間が初産婦で30時間未満
経産婦で15時間未満である分娩
・異常分娩:abnormal labor and delivery
正常から逸脱した
難産(difficult labor dystocia) DDS:dytrophia dystocia syndrome
A分娩の方法による分類
・自然分娩:spontaneous labor
・人工分娩:artificial labor :薬剤 手術
Kaiser(皇帝)-Scnitt Julius Caeser → Sectio caesarea → Cesarean section
B胎児の数による分類
・単胎分娩:single labor
・多胎分娩:multiple labor 双胎分娩 品胎分娩
C胎児の生死による分類
・生産:live birth
[広義] 母体外で生命の症候をしめしたモノ
[WHO] 妊娠22週以降 体重500g以上 頭臀長(crown-rump length)25cm以上
出生届 命名 戸籍 (死亡届)
・死産:stillbirth 静かな
子宮内で死亡: (IUFD:intra uterine fetal death)
妊娠12週以降:死産届
<2>分娩の経過
*「文脈」の関係上ここで簡単に説明(?)
@第1期(開口期):分娩開始〜子宮口全開の期間
A第2期(娩出期):子宮口全開〜胎児娩出の期間
B第3期(後産期):胎児娩出〜胎盤・卵膜の娩出の期間
C第4期(分娩後2時間):分娩が終了して2時間の期間(logical に全く矛盾した定義)
胎盤・卵膜の娩出後2時間の期間
§2 分娩の3要素
<1>娩出力 expulsive force
【陣痛】Wehen
*陣痛:妊娠・分娩・産褥期に不随意に反復する「子宮収縮」
日本語では「痛」と云う文字が入るが、Wehwn と「疼痛」とは別の現象(Vs 産痛)
@妊娠陣痛
:pregnant pains Braxton-Hicks contraction
妊娠中の不規則性の弱い子宮収縮
自覚されない、陣痛計で判明
妊娠後期になると頻度と強さを増す
A前(駆)陣痛:false
pains Vorwehen 偽陣痛
妊娠末期の妊娠陣痛より頻繁で、強い 自覚される 間隔不規則
分娩陣痛に移行 or 消失
子宮口を開大する事はない
子宮頸部の成熟(展退・軟化)には寄与
B分娩陣痛 : labor
pains Geburtwehen [分娩開始:規則的に10分間隔に発来]
1。開口期陣痛:頸管・子宮口の開大
2。娩出期陣痛:胎児娩出 共圧陣痛
3。後産期陣痛:胎盤・卵膜等の娩出 陣痛は弱くなり、持続時間は延長
C後陣痛
:after pains Nachwehen (=アトバラ)
産褥期 子宮復古を促進
【陣痛の特性】(頁146 図51)
*周期的に収縮・休止を交互に反復(陣痛周期)
@陣痛発作(=収縮期):onset of labor pains
1。増進期(=進行期)increment phase Stadium incrementi
2。極期 acme phase Stadium
acmes climax
3。減退期(=退行期)decrement phase Stadium decrementi
A陣痛間欠(=静止期):interval
【性状】子宮収縮は不随意 精神的因子で変動
(↑)因子:乳房刺激 器械的刺激 陣痛促進剤
(↓)因子:直腸・膀胱充満 疲労 陣痛抑制剤(=tocolysis)
【産痛】陣痛は元来「=子宮収縮」の意 通例「いたみ(=産痛:下腹痛 or 腰痛)」を伴う
子宮筋自体の痛み 軟産道の開大・圧迫に伴う痛み 個人差が大きい
【陣痛の強さの測定】(頁147 図52)
@外側法:臨床的 CTG(=CardioTocoGraphy)(頁71 図31)(頁72 図32)
A内側法:研究目的(open-end
catheter method)
1。経子宮頸管羊水圧測定法
2。バルーン法
【腹圧】abdominal pressure Bauchpresse
腹壁筋・横隔膜筋・骨盤底筋の収縮・緊張→30〜50mmHg
[努責] :意識的に腹圧をかける
[共圧陣痛]:Bearing-down pains Presswehen
分娩末期不随意的に陣痛発作時に腹圧がかかる
多くの場合妊婦は「いきみが来る」と第3者的に表現
前 方 | 側 方 | 後 方 | |
骨盤入口平面 | 恥骨結合上縁 | 無名線 | 岬角 |
骨盤濶平面 | 恥骨結合後面中央 | 寛骨臼中央相応内面 | 第2・3仙骨癒合部 |
骨盤濶部下限 | 恥骨結合下端 | 坐骨棘 | 延長上仙骨前面 |
骨盤峡部下限 | 恥骨結合下端 | 仙骨尖端 | |
骨盤出口平面 | 恥骨結合下端 | 坐骨結節 | 尾骨尖端 |
§4 分娩の機序
<1>陣痛発来の機序
§5 分娩の進行と産婦の身体的変化
<1>分娩の前兆
【胎児の下降感】
@上腹部圧迫感の軽減←児頭の下降 子宮体部の前方傾斜
A頻尿
←膀胱の圧迫・刺激
【偽陣痛(前駆陣痛)】
経過観察中に軽快・消失(時に、頻度と強度が増す事有る)
【産徴(おしるし)】 sign of labor show es zeichnet
卵膜子宮壁より剥離開始
→少量出血 粘液栓排泄
【子宮頸部の熟化】
@開大度:頸管の最狭部距離(cm)
A短縮度:頸管の上下端間距離(cm
熟化前値:3cm)
B硬度
:硬(鼻翼) 中(口唇) 軟(マショマロ状)
*Bishop Score stage of dilatation(頁157 表33)
0 1
2 3
1。頸管開大度(cm)
0 1〜2 3〜4 5〜6
2。頸管伸展度(%)
0〜30 40〜50 60〜70 80〜
3。先進部高さ
-3 -2 -1〜0 +1〜
4。頸部の高さ
硬 中
軟
5。子宮口位置 後方
中央 前方
*De Lee の station 方式(頁157 図62)
坐骨棘間径と先進部と垂直距離(cm)
*Bishop score
は元来「分娩誘発」の条件を定めた→分娩予知の指標
<2>分娩第1期(開口期) first stage stage of dilatation
【定義】産道形成期(分娩開始〜子宮口全開大)
【陣痛】しだいに増強・周期短縮・持続延長
*Friedman 曲線(頁159 図63)
@潜伏期
:緩徐に開大 :頸管の短縮 期間は種々の因子の影響→期間の変動(不定)
8時間(5時間)
A活動期 :急速に開大(3〜4cm以降):
1。加速期:
2時間(30分)
2。極期 :
2時間(75分)
3。減速期:児頭が骨盤内下降開始 2時間(30分)
B分娩2期:児頭・骨盤腔の相互関係を反映
2時間(30分) *()内:経産婦
*分娩所要時間:経産婦≒初産婦/2
*急速開大時 :悪心・嘔吐 過換気症候群
<3>分娩第2期(娩出期) second stage stage of expulsion
【定義】子宮口全開大(頸管を触知しない状態)〜胎児が産道を下降〜娩出
【陣痛】娩出期陣痛: 開口期陣痛より頻回・増強→共圧陣痛
【症状】下腹痛・腰痛 顔面紅潮 静脈怒張 発汗 頻脈
【破水】適時破水 頻度的には分娩第1期に破水する場合も多い
【下降】便意(直腸刺激) 肛門哆開 会陰膨瘤
【排臨】appear(ing) Einschneiden
陣痛発作時:児頭が陰裂より出現 陣痛間歇時:消失
【発露】crowning Druchschneiden
陣痛間歇時にも露出
【娩出】第3回旋(=xetension) 第4回旋(=external rotation)
肩甲娩出 第1啼泣(テイキュウ 声を上げて泣く)
<4>分娩第3期(後産期)
【定義】児娩出〜胎盤・卵膜の娩出
【陣痛】胎児娩出後陣痛は一時停止
胎児娩出後3〜5分して後産期陣痛発来(妊婦が自覚しない事も多し)
胎盤剥離 卵膜・臍帯と共に胎盤排出
<5>分娩第4期
【定義】胎盤・卵膜の娩出後2時間
異常出血(産道裂傷 弛緩子宮)
出血量:250ml位 500ml以上出血の場合→異常分娩
§6 産痛
<1>産痛の機序
【性状】程度に個人差が大
【内容】子宮収縮 軟産道開大 骨盤壁・骨盤底の圧迫 会陰の伸展
【痛覚路】(頁160 図64) :Frankenhauser神経叢(骨盤神経叢・陰部神経・仙骨神経)
@子宮体・峡部・腹膜:交感神経(骨盤神経叢・下腹神経叢・大動脈神経叢) →第10胸〜1腰髄後根
A子宮頸部・膣上部
:副交感神(骨盤神経叢・仙骨神経叢)
→第2〜4仙髄後根
B膣・会陰
:陰部神経・仙骨神経
→第2〜4仙髄
<2>無痛分娩・和痛分娩
和痛:いたみを「和(ヤワ)らげる」
適応:@精神的難産(持続性緊張→筋肉疲労→微弱陣痛→遷延分娩)の予防と治療
A妊婦の負荷の減少(合併症妊婦 ex. 心疾患等)
【薬物によらない方法】
@Read :恐怖・緊張・痛みの悪循環
【教育内容】分娩機序の理解→分娩中の緊張緩和→産痛の軽減
ALamaze:恐怖ー(条件反射)→痛み
【教育内容】「分娩=自然な生理現象」との洗脳→条件反射の離断(=精神予防性無痛分娩)
適切な呼吸法の訓練・産婦の精神的支援→産痛を最小限に緩和
【薬物投与による方法】
@薬物全身投与方
【方法】筋肉注射 静脈注射 吸入麻酔
【薬剤】鎮痛剤 鎮静剤 麻薬
【併発】<母体>意識レベル低下→誤嚥性肺炎 <胎児>薬物の胎児移行→呼吸抑制
A区域麻酔法
1。硬膜外麻酔法
【特徴】長時間の効果 呼吸麻痺・血圧低下が起こり難い
【適応】分娩1期痛(子宮収縮・頸管拡張に由来←第10胸髄〜第2腰髄)
分娩2期痛(産道・会陰痛
←第2・3仙髄)
【手技】2/3 or 3/4 腰椎間より硬膜外穿刺 通例カテーテル挿入・留置
【併発】低血圧 局所麻酔中毒(血管内注入) 全脊椎麻酔 神経損傷 硬膜外血腫
2。会陰神経麻酔(頁162 図65)
【適応】分娩2期の鎮痛・会陰の筋弛緩
【手技】坐骨棘内側部(通例両側)の浸潤麻酔 専用針(コバック針)
【併発】局所麻酔中毒(血管内注入)
§7 胎児に及ぼす影響
<1>胎児血への影響(頁162)(頁72:胎児抹消血検査)
陣痛発作・子宮収縮→胎児低酸素症→炭酸ガス(↑)
→唐の分解 乳酸の蓄積→acidosis 傾く
【通例】電解質緩衝系(electrolytic buffer system)の作動→胎児血液・正常(pH
7.30±0.05)に復元
【重症】復元不能→acidosis(pH7.20以下) 急速遂娩が必要
<2>胎児心拍数への影響(頁73 図33)
*正常:基線 120〜160bpm 心拍変化:軽度・即復帰
○
@早発一過性徐脈 △
【圧迫部署】児頭
【出現状況】陣痛と同期 20〜30bpmの低下
【出現機序】陣痛→児頭圧迫→頭蓋内圧上昇→迷走神経中枢刺激
A遅発一過性徐脈 ××
【圧迫部署】子宮血管
【出現状況】開始・終了共に陣痛周期より遅延するも同調 胎児低酸素症
【出現機序】陣痛→子宮・胎盤血行障害→胎児ガス交換不全→血液を介し迷走神経中枢刺激
B変動一過性徐脈
×
【圧迫部署】臍帯圧迫
【出現状況】不定
【長期持続】胎児・胎盤循環の悪化→胎児低酸素
*妊婦の体位の変換等で消失する事多し
<3>胎児応形機能
*児頭の産道通過時の骨重積(1週以内に戻る)→児頭の産道通過断面の縮小化
前頭骨・後頭骨→頭頂骨の下方 前方頭頂骨→後方頭頂骨の下方
<4>産瘤 caput saccedaneum
【原因】子宮収縮による児頭圧迫(子宮頸部に対して)
【機序】先進部での頭皮・骨膜間への血漿の滲出(しみだす)
【形状】境界不明瞭 縫合・泉門(頭蓋骨の境界)に無関係
【経過】分娩後1・2日で消失
【鑑別 】頭血腫(cephalohematoma:週単位の存続)
(平成16年5月25日記) |